盲目モード

 一周回った人というのは、どのくらいいるのだろう。
 初めてのデートで、会う場所や時間を自己都合で指定してくる人は本当に嫌いだ。
 少しでもリスクを負わないよう、保守的で計算高い人は、人間が小さい。そういうせせこましいことを考えている時点で、青い。
 選択した自分の責任だと、腹をくくって寛容であれと思う。
 一周回った人は、考え方も選択も本質に背かない。相手や場所を問わず、条件を超えた付き合いができる。
 人を見る目があれば、通話でもチャットでも、少しやりとりをすればわかるものだ。自分がせこい考えを巡らせる必要がある相手とは関係を持たないのが正解。関係を続けたところで、そういう自分に気づかない相手でも間違い。
 かしこい人ははっきりとしている。何気ない気遣いに気づき、評価する。
 
 彼との関係は、不安定しかない。優しいと思ったら、1日以上返事がなかったり、なかなか安心させてもらえない。
 私は上手に自分を緩めながら、彼を適当に信じて待つしかできない。心に正直になって決断したのだから、ある程度覚悟しなければ。
 私もため込めない性格だから、言うことは言っている。彼の私への理解も、少しずつ深まっている。と思いたい。
 少し会うだけで、どんな蟠りも吹き飛んで、ハッピーで浮かれてしまうのだから、罪なものだ。
 次も会いたいという人がなかなかいない中で、なぜ彼は違うのだろう。やっぱり彼は大人なんだと思う。一周回って、大人で、そしてとんでもなく自分勝手なのだ。
 
 テレワークの生活に慣れてくると、時間が上手く使えなくなってくる。
 最近景色が見えない。盲目モードになっている。恋愛をしているからだろうか。途端に視野が狭くなるからな。
 感覚が散らばるほど、回収するのが難しいが、隙間を許せるから諦められる。
 ぎっしり詰まっている今の状態は、瞳を動かす余裕も、感覚を広げる余裕もなくて、自分が酷くつまらない人間になったよう。
 
 ああ、何も考えられない。思いつくことを綴っていこう。
 好きな人と結婚をしたい、という言葉を聞いた。私もそうだ。まるで夢みたいな話だけど。
 祖母が両親の還暦祝い向けて張り切っている。祖母を立てて、良い会にしてあげたい。
 女を磨くって何だろう。JYパークは、育てるアイドル達にこう言っていた。デビューするための心構えは「真実、誠実、謙虚」。
 真実は、場所や時間や人を問わず、隠すものがない自分でいること。カメラの前でできないことはカメラのないところでもしない。
 誠実は、自分との闘い。自己実現のために積み重ねた努力は、必ず叶う。
 謙虚は、言葉や行動ではなく、心の謙虚を意味する。人の良いところを見て、心から感謝できること。
 達観した人の言うことは、みんな同じだ。
 
 今日会う相手も、見込みがなさそうだ。彼からは相変わらず連絡がない。
 場所を変えても、筆が進まない。